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新井高校校長より新2年生3年生の皆さんへ

2020.4.8

 新2年生3年生のみなさんへ

 新2年生3年生のみなさん こんにちは、高校校長の新井です。
そして、進級おめでとうございます。

 今日、4月8日が、2020年度の始業の日でした。本当に残念ですが、新年度のスタートを休校の延長という形で迎えることになってしまいました。みなさんご存じのように、新型コロナウイルス感染が東京や埼玉など首都圏に広がりを見せている今、東京に隣接し、長時間公共交通機関を利用する通学者が多く、学校寮でも多くの生徒が生活をしている自由の森学園としては、生徒のみなさんの健康と安全を最優先に考え、5月の大型連休明けまで学校を休校せざるを得ないと判断しました。そして、昨日4月7日、政府から緊急事態宣言が出されました。
新年度の学びや生活、新入生との新しい出会いなどを楽しみにしていたみなさんのことを考えると、本当に心苦しく思っています。

 3月からの休校で、不安に思っている人もいるかもしれません。まずは、クラス担任から直接声を届けようということで、一人一人のみなさんに電話をすることにしました。そして、寮生のみなさんへは担当の寮監からも電話をすることにしました。クラス担任や担当寮監の声を聴いて、少しでも安心してくれたらうれしいです。また、何か疑問や不安に思うことがあったら、遠慮せずに学校に連絡してください。

 授業はどうなるのかという不安を感じている人もいることでしょう。こんな時だからこそ自由の森の学びをみなさんと共有できる方法はないか、教員たちは模索を続けています。
まずは、4月のガイダンスで行うことを箱に詰めてみなさんへ送ることにしました。この箱に中には、この校長からのメッセージと一緒に、学年の教員たちからのメッセージと各教科の教員たちからのメッセージが入っています。また、各教科からは自宅でできる各教科の教材が入っています。市販のドリルや問題集ではなく、自由の森の教員たちが手作りで準備した教材です。この箱は「学びのBOX」と呼んでいいと思います。

 みなさん知っての通り、自由の森学園の大切にしている授業は、同じ空間と時間を共有しながら、生徒たちと教員で一緒につくっていくものです。同じ教材を使ってもクラスのメンバーやその時々の発言や疑問によって全然違ったものになるのが、本当の授業の面白さであり、醍醐味であると私たちは思っています。この箱に入っている教材ではそのことを表すことは難しいかもしれません。

 しかし、教員たちはみなさんのことを想像し、思いや願いを込めてこの教材を作成しました。教員たちからみなさんへの「プレゼント」です。なるべくみなさんが楽しんで学べるように、また、学ぶうちに楽しくなるように工夫をしています。

 この「プレゼント」をぜひ受け取ってください。難しかったりわからなかったりした時には、あとでもいいのでぜひ伝えてください。教員たちは必ず返事をしますよ。休校期間が、このBOXが提起した学びによって少しでも豊かな時間になるようにと願っています。

 授業時間が少なくなってどうなるのか心配している人もいることでしょう。なるべく、みんなで取り組もうと用意しているカリキュラムを実現するために、夏休みの短縮も考えています。これもまた、感染拡大の状況によって変化していくため、詳しい日程については決まったところで連絡をします。

 みなさんの中には、こんな時だからこそこんなこともできるのではないかといろいろなアイデアを持っている人もいるかもしれません。ぜひ、担任や教科担当の教員にそのことを伝えてください。みんなで力を合わせてこの期間をより豊かにしていきましょう。そして、くれぐれも健康管理に気を付けてこの期間を過ごしてください。

 今、私たちは大きな「災害」の只中にあると、私はそのように思っています。地震や津波や台風のようなものではありませんが、目に見えにくく、そして静かに迫ってくる「災害」の只中にあるのです。(もちろん医療現場は大変な状況ですが……。)
私は、生徒たちと一緒にスタディツアーで、東日本大震災で被災した岩手県釜石市に何度か訪問する機会がありました。そこで出会った被災者の方々が生徒たちに必ず伝えてくれる言葉に「自分の生命は自分で守る」というものがあります。小学生であっても、またお年寄りであっても、自分の生命を自分で守る行動が大切なのだというのです。

 釜石では小中学生の多くが津波から避難して助かっています。それは、小中学生一人一人が自分の生命を自分で守る行動をしたからだと言われています。そして、その背景には小中学生が授業で学んでいった「津波避難の三原則」があったと言われています。
この津波避難三原則とは、①想定にとらわれるな ②その状況下で最善を尽くせ ③率先避難者たれ というものです。
実際に率先して避難する子どもたちを見て、多くの大人たちが避難し生命が救われました。子どもたちの学びが、多くの生命を救い、希望へとつなげていったのです。
 
 この三原則は津波からの避難だけに当てはまるものではないと私は思っています。今まさにこのコロナウイルス「災害」では想定を超えた事態が起こっています。今回の場合、「避難」にあたる行動とは何か、考えてみましょう。私はまずは「感染リスクの高い場所には行かない」「感染リスクが高くなる行動は控える」ということだと思います。そして、この三原則の精神は、「大切な自分を誰かに丸投げするのではなく、自分の頭で考え行動する」ということだと思います。ネット上でも「三原則」について詳しく説明しているものがありますので、ぜひ調べてみてください。

 噂やデマ、フェイクニュースに惑わされるのではなく、新聞やテレビ・ラジオのニュース、様々な専門家の知見などの情報を自分で集めてみてください。そのうえで、自分で考えて自分の行動を決めてください。もちろん家族や身近な人たちと話し合うことも大切だと思っています。

 ここで自ら学んでいくことが「最善を尽くす」ことになるのだと私は思っています。
そして、学ぶことは希望とつながることだとも思っています。こんな時だからこそ、みなさんには学び続けていってほしいと私たちは思っています。私のメッセージは少々長くなってしまいました。最後まで読んでくれてありがとう。

 新型コロナウイルスの感染が一日でも早く収束に向かい、世界中の人々が苦しみや困難から少しでも軽減されることを祈りつつ、このメッセージを終わりたいと思います。
それでは、みなさんと会える日を楽しみにしています。

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